建設会社で働いていると、さまざまな書類が日々増えていくのを目にすることが多いと思います。みなさんは、膨大な書類の整理や保管場所に困ってはいませんか? 実は、建設会社で発生する書類は建設業法で保管期限が定められています。ここでは、建設会社で発生する書類の保存期間やオススメの保管方法をわかりやすく説明していきます。
書類の保存期間は建設業法で決まっている?
建設会社で発生する書類にはさまざまなものがありますが、実はほとんどの書類に建設法業で保存期間が定められています。溜まってきたからといって個人の判断で捨てることはできません。もし保存期間が定められている書類を捨ててしまった場合、以下のような問題が発生します。
書類を保存していないと法令違反になる可能性がある
建設業法では「国土交通大臣と都道府県知事は、必要に応じて建設業者の財産、工事の状況、帳簿書類、その他の物件を検査させることができる」とされています。罰則もあるため、なんらかの問題が発生した際に書類を提出できない場合、罰金を取られてしまいます。
従事者の労働災害が起きた際に必要になる
建築現場では怪我をしたり病気になったりすることがありますよね? そういった怪我や病気のなかには、従事中には症状の出ない疾病もあります。たとえば塵肺や難聴等は即座に症状が出るものではありませんので、従事後に発症した際、その現場で従事していた証明書類が必要になります。
金銭トラブルなど施工後のトラブルの際に必要になる
竣工後に業者間での金銭トラブルが発生することもありえます。建設業法で発生する書類は、適正に契約に基いて施工がされたのかを証明する書類にもなるものです。もし裁判等で争う際に必要な書類を捨ててしまっていては責任を問われてしまいます。
このように、必要な書類を捨ててしまっては大きな問題に発展する場合があります。そうならないためにも、捨ててはいけない書類を把握してから書類整理をしなければいけません。保存しなければならない書類にはどのようなものがあるのか、以下の項で説明していきます。
建設業法で保存期間が定められた書類とは?
建設業法では書類に保存期間が定められていることはわかりましたね。しかし、ややこしいことに建設業法で定められた書類の保存期間はバラバラです。保存期間別に挙げていきますので、書類保管の参考にしてみてください。
3年保存
安全衛生委員会議事録、特別教育の記録、騒音測定記録、クレーン過負荷制限特例記録/デリック過負荷制限特例記録、クレーン点検記録/デリック点検記録/エレベーター点検記録、移動式クレーン点検記録/簡易リフト点検記録、建設用リフト点検記録、有機溶剤作業環境測定記録、有機溶剤作業環境測定結果の評価記録、鉛作業環境測定記録、鉛作業環境測定結果の評価記録、特定化学物質用局所排気装置/除じん装置/排ガス処理装置/廃液処理装置点検記録/特定化学設備またはその付属設備点検記録、特定化学物質作業環境測定記録、特定化学物質作業環境測定結果の評価記録、酸素欠乏危険作業場所環境測定記録、粉じん用局所排気装置および除じん装置点検記録
5年保存
帳簿、帳簿の添付書類(契約書、下請負人に支払った下請代金の額、支払年月日及び支払手段を証明する書類又はその写し、施工体制台帳)、健康診断個人票、有機溶剤健康診断個人票、鉛健康診断個人票、四アルキル鉛健康診断個人票、特定化学物質等健康診断個人票(特別管理物質は30年間)、放射性物質濃度測定記録
7年保存
粉じん作業環境測定記録、粉じん作業環境測定結果の評価記録
10年保存
営業に関する図書(工事内容に関する発注者との打ち合わせ記録、完成図、施工体系図)
30年保存
特別管理物質製造,取扱作業記録、特定化学物質等健康診断個人票(特別管理物質のみ)、電離放射線健康診断個人票
保存期間なし
衛生日誌・衛生管理者の職務上(巡視等)の記録、産業医の職務上(巡視等)の記録
建設業法の書類だけでもこれほどたくさん種類がありますので、書類整理は大変ですよね。少しでも効率よく書類整理をするために、書類の保管方法を次の項からご紹介していきます。
書類はどのように整理したら良いの?
書類の保存期間が分かっていても、膨大な量の書類をどのように整理すべきか分からなかったりしますよね。ここでは、分類しやすさと取り出しやすさを考慮したオススメの書類保管方法を紹介します。
まずは案件別に分類する
まずは書類の案件ごとに分類しましょう。案件ごとにファイルに綴じ、そのファイルを日付順に並べます。こうするとなにか過去の案件で問題が起き、書類が必要になった際にも日付で探すことができ、問題のあった案件ごとに取り出すことが出来ます。
その中でさらに保存期間別に分類する
また、案件ごとに綴じたファイルの中も保存期間別に閉じておきましょう。こうすると、保存期間が過ぎた書類を破棄する際もその箇所だけを破棄すればよいので、書類の管理が簡単です。
保存期間によらず保管しておいたほうがよい書類
建設業許可を取る際には、営業所ごとに経営業務の管理責任者が必要になります。経営業務の管理責任者とは、建設業の経営業務について総合的に管理し執行した経験を有する方のことです。この経営経験を証明する際に過去の注文書や請求書などが必要になります。保存期間を過ぎたからといって過去の注文書や請求書などを破棄していると、経営経験を証明する際に書類が足りないと言われてしまう可能性があります。法律で定められた書類は復元を禁じられているため、10年は保存しておくことをオススメします。
建設業法で定められた書類の保管方法についてイメージできたでしょうか? 上で挙げた書類保管方法はあくまで一例です。「後々必要そうな書類をファイルの一番上に閉じる」などの工夫をしてみるのもよいでしょう。
上記の書類保管方法を試してもまだ書類が溢れて困っているようなら、書類の専門業者へ相談してみると良いでしょう。
書類保管には書類保管サービスの利用がオススメ
「膨大な書類を整理したのにまだ書類の量が多すぎて困ったなあ……」そんな方には書類保管サービスの利用をオススメします。書類保管サービスとは、その名の通り書類を倉庫に預けると書類を管理してくれるサービスです。書類の量や種類が多ければ多いほど書類の管理は大変になってくるため、その手間を肩代わりしてくれる書類保管サービスは、書類の量が多い建設会社にはうってつけのサービスです。
書類保管サービスを利用したことのない方のために、メリットとデメリットを挙げて比較しながらご紹介していきます。
書類保管サービスのメリット
書類保管していたスペースを有効利用できる
書類保管していたスペースが空きますので、その分事務所の賃料をカットでき、他の用途に有効利用できるようになります。
預けた書類が一覧できる
書類保管サービスでは預けた書類をWebで在庫管理できます。預けた書類が必要になった際も、Web管理システムから選ぶだけで取り寄せが可能なので、書類の山から書類を探す手間を省けます。
書類を安全に保管できる
書類保管サービスでは地震や火事などの災害対策を行っているほか、セキュリティ対策も行っているので、書類の破損や紛失の危険性はグッと下がります。建設業法で定められた保存期限のある書類の破損や紛失は大きな問題に発展するため、絶対に避けたいものです。自社の書類棚で保存するだけでは万全な災害対策やセキュリティ対策ができているとは言い難いでしょう。書類保管サービスに預けることで大切な書類を守ることができます。
書類の廃棄もできる
書類保管サービスでは、書類の廃棄も請け負っている会社が多いです。建設業法で定められた保存期間が過ぎたりなど不要になった書類は、連絡一つで破棄できます。
書類保管サービスのデメリット
保管料がかかる
当たり前ですが、書類保管サービスの利用には保管料がかかります。しかし、書類を社内保管していたスペース分の賃料よりも書類保管サービスのほうが安く済むこともあるので、一度比較してみるのがよいでしょう。
書類保管サービスのメリットとデメリットを比較すると、普段使用しない書類の量が多ければ多いほど利用価値があると言えます。「書類保管サービスを使うには保管料がかかるしもったいないかな」と思われるかもしれませんが、災害対策・セキュリティ対策や、自社保管での管理にかかる手間などの人的コストなどを考えると、メリットのほうが上回るのではないでしょうか。
次の項では、書類保管サービスの選び方についてご説明します。
オススメの書類保管サービスは?
いざ「書類保管サービスを利用しよう!」と思っても、どの会社を選んでいいか分からなかったりしますよね。信頼できる会社を選ばなければ、せっかく書類保管サービスを利用しても有効利用できないかもしれません。ここでは書類保管サービスを選ぶ際のポイントをご紹介します。以下のポイントをクリアできる会社であれば、信頼できる会社と言ってもよいでしょう。
書類専門の保管サービスかどうか
書類を預かっているサービスには貸倉庫やレンタルルームなどもありますが、これらはただ場所を借りるだけのサービスであり、書類保管には不向きです。書類を預けるのであれば、「書類専門」の保管サービスを選ぶべきです。書類の保管に特化しているため書類保管のノウハウがあり、書類のWeb管理システムや書類の集配送、書類の破棄など書類に適した運用をしています。
素早く細やかな対応をしてくれるかどうか
大手の書類保管サービスはセキュリティ対策などはしっかりしている反面、取り扱い書類が膨大なため細やかな対応を望めないことがあります。親身になって相談に乗ってくれる会社がよいでしょう。書類を預けるということは長くつきあうことになる会社ですので、担当者の対応がよいかは大切な判断基準です。
防災対策・セキュリティ対策がしっかりしているかどうか
書類を預けるにあたって、最も大切なのは防災対策とセキュリティ対策です。せっかく書類を預けたのに、保存期間のある書類の破損や紛失が起こってしまっては意味がありませんよね。判断基準としては、防災面では「地震や火事の対策だけでなく倉庫の場所が災害の起こりにくい立地かどうか」「湿度対策はなされているか」などです。セキュリティ面では「ISMS/ISO27001を取得認証している」会社は一定以上の対策を行っていると思ってよいでしょう。
建設業法で定められた書類を預ける書類保管サービスの選び方については参考になったでしょうか?
弊社キーペックスも上記の点はすべてクリアしているほか、お客様ごとに担当者がつき親身に対応いたします。資料請求や無料見学も受け付けておりますので、ぜひ一度お問い合わせください。